ドローン測量における最新技術「RTK」とは?最新技術をご紹介
ドローン測量のおける最新技術である「RTK」。これまでのドローンと比べて精度が高く便利な技術である、ということは分かっていても、「その原理や具体的な活用方法については理解できていない…」という人も多いですよね。今回は最新技術であるRTKについて、その概要やメリットを詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
RTKとは「Real-Time Kinematic」の略
ドローン測量について調べていると目にする「RTK」という言葉は、「Real-Time Kinematic(リアルタイム・キネマティック)」の略です。RTKはDJI社によって開発されたモジュールであり、ドローン測量における最新技術の一つです。RTKによる測量は、GPSの位置情報を用いるよりも遥かに精度の高いデータの取得を可能としています。
■RTK=「Real-Time Kinematic(リアルタイム・キネマティック)」とは?
RTKとは「Real-Time Kinematic(リアルタイム・キネマティック)」の略で、地上に設置されている基準局から位置情報データを取得することにより、高精度な測位を可能とするドローン測量の最新技術を指します。RTKは「RTK-GNSS」という表記をされていますが、この「GNSS」とは「汎地球測位航法衛星システム」のことです。汎地球測位航法衛星システムは、衛星を使用した測位システムの総称を表しています。
通常行われているGPSのみを使用した位置データの測位では数mの誤差が出てしまいますが、RTKと組み合わせることによって誤差を数cmまで抑えることを実現しました。GPSのみの位置データでは不可能とされていた高精度なデータ活用により、今後は測量以外でもさまざまな分野での活用が期待されています。
■RTKをドローンに搭載するには?
RTK技術をドローンに搭載するには、「D-RTK」という専用のモジュールを使用します。D-RTKはDJI社から発売されており、DJIのフライトコントローラーである「A3」というシリーズに対応した位置情報測位システムです。
搭載可能なモデルは「Matrice600Pro」と「Matrice210RTK」であり、これらにD-RTKモジュールを搭載することによって瞬時にRTKの測位システムが利用可能となり、高い精度の測位が実現しています。
また、現在ではD-RTKの最新版として「D-RTK2」も開発されており、これは「DJIAgrasT-20」や「Matrice300RTK」などの機体に搭載可能なモジュールとなっています。
今後、RTKの技術は測量のみにとどまらず、3Dマッピングや送電線などのインフラ点検、物流、精密農場、農薬散布など、その正確性を活かすことができるさまざまな分野での活躍が期待されています。
㎝単位での位置情報が測位できる
先述の通り、RTKでは垂直・水平方向に数cm程度の誤差に抑えた正確な測位が可能です。従来のGPSでは数m単位で誤差が生じていたことから、ドローンの自動飛行による利用が制限されてしまっていたケースもあります。
たとえば、精密農業や農薬の散布をドローンの自動飛行によって行おうとした場合、日本では地理的に密集地が多いため、「数mの誤差」は「致命的な誤差」となってしまい、ドローン利用は難しいとされていました。
しかし、誤差が数cm程度に抑えられるのであれば安全性も高まり、このようなシーンでも問題なくドローンの自動飛行により作業を進めることができます。
電波妨害に強い
ドローンに搭載可能なRTK技術を活用したモジュールとして、DJI社から販売されている「D-RTK」があります。このD-RTKでは、RTK用にドローンに2本のアンテナを搭載しており、コンパスセンサー単体を使用した場合と比べて遥かに正確な機首方位表示を可能としました。ドローンの機体を安定的に、ブレることなく処理できるだけでなく、コンパスに影響しないことから磁気の干渉にも強いというメリットが挙げられます。
従来のドローンでは金属の構造物や高電圧線のある場所、無線基地などにおいては、電波障害やコンパスエラーが起こる可能性が危あることから飛行が難しいとされていました。しかし、コンパスに影響しないD-RTKであれば、このような環境下でも電波障害などのトラブルを起こすことなく飛行できます。
正確な高度計算ができる
ドローンによる高度計算は、一般的に気圧計を用いて行います。気圧計は突然発生した気流などによって高度計算が狂わされてしまう、操縦時・離陸時などでは高度計測結果がズレやすい等が難点であるとされていました。
RTKの測量では誤差を数cm程度に抑えることができるため、高度計測においても安定的なデータ取得することが可能であり、信ぴょう性の高い計測結果を得られます。
今回は、ドローン測量の最新技術であるRTKについて、その概要とメリットを解説しました。RTKの導入によりほとんど誤差のない測位が可能となり、その確かな技術は測量以外でもさまざまな分野で活用されることが期待できます。ドローン技術の進化は今後もさらに進んでいき、測量についてもますます作業効率を上げて正確なデータの取得が可能となるでしょう。ドローン測量に興味がある人は、今回の記事を参考にしてみてください!