ドローン測量の原理って?仕組みや測量方法について詳しく解説!
近年、活躍の場を広げているドローン測量ですが「標尺などの道具を使わずにどうやって後視点や目標点が分かるのか?」「基準点はどうしているのか?」など、不思議に思っている方も多いでしょう。ここでは、そんなドローン測量の仕組みについて詳しくお伝えします。ドローンを使用しての測量を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
従来の測量方法
昔の測量器械は光を使ったもので、望遠鏡の中心点を基準にして角度を測るトランシットという器械でした。その後、数字をマイクロメーターで読み取るものや、デジタル表示されるセオドライトが開発され、1990年以降には光を利用して測ることができるトータルステーションが開発され、多く使われることとなりました。トータルステーションは角度と距離の両方が1台で測る事ができ、さらにデジタル表示させる事のできる器械です。
トータルステーションの登場によって、測量の効率や精度は飛躍的にあがったのです。その後、さらに開発が進みGNSSとよばれる全地球測位システムや3Dレーザースキャナーが主流となります。GNSSはGPSなど4機以上の測位衛星電波を複数の受信機で同時に観測するシステムなのですが、GPSだけでは精度が落ちてしまうため、精度を高めて距離や角度などのデータを得ることができるシステムとして用いられたのがGNSSシステムです。このシステムを利用したものは測量のほかにも私たちの身近にあります。たとえば自動運転システムや、スマートフォンの位置情報システム、グーグルマップ、航空機などが挙げられます。
3Dレーザースキャナーは、レーザーを対象物にあてて戻ってくるレーザーの速さや角度などのデータを元にして、立体的に対象物の縦軸、横軸、奥行の点群の画像データを取得することができる測量機器です。このGNSSや3Dレーザースキャナーを使って無人航空機や人手で測量をしていましたが、それでもかなりの時間と、何度も航空機を飛ばす莫大な費用がかかっていました。
近年では商業用ドローンの登場により、3DスキャナーやGNSS、ドローンを使い、より精密で作業効率の良い測量が可能になりました。
ドローンはどうやって測量を行っているのか
ドローンといえば、災害地域の映像やオリンピックの競技映像、開会式での美しいショーを思い浮かべる人も多いと思います。「そんな空撮でよく目にするドローンを、道で三脚を立ててじっと器械をのぞき込んで作業をするような測量の現場で使えるの?」と疑問に思うかもしれません。しかし、実際にはさまざまなソフトやドローンが開発され、測量の現場においても大活躍しています。測量でドローンを使うケースとしては、広大な土地、傾斜や高低差が激しい場所など、人や重機が入りづらい場所が主です。ドローンは私たちが両目で物を見るようにして写真を撮ります。
さらにオルソ画像と言われる高い所から建物や地形を見下ろした時に生じる歪みを補正した画像を組み合わせた画像データが撮れることに加え、地形認識モードによって高低差や起伏のある土地でも高さを一定にして、指示したルートを飛ぶ自動飛行が可能となった事で精巧な画像データが撮れるわけです。ドローンに搭載されているGNSSとカメラで地形をとらえながら傾斜や面積、距離、角度、奥行といった情報データが集められます。
このデータを点として表し、点をつなぐことで三次元画像データが作り上げられるのです。さらにRTKとよばれる地上に設置した基準局からの情報を加えることにより、数センチのずれしかないデータを得られるようになっているのです。ドローンから得られた情報はソフトやアプリにより3D画像を作り上げることができます。この地形認識モードによって、区画を分けて何度も飛行を繰り返して取得していたデータは1度の連続飛行で取得できるようになり、時間と経費を縮小し精密な測量ができるようにもなりました。
ドローンの測量方法は主に3種類
現在、ドローン測量の方法は主に空中写真、レーザー、グリーンレーザーの3種類です。
空中写真とは名前の通り空撮した写真を元に測量をし、地図を作る事で道路などの建設の為の調査や設計に使われます。空撮画像のため、木や草など地面が見えない場所の測量は制度が落ちてしまうこともありますが、比較的安価です。
レーザー測量はドローンにGNSSや光学カメラ、レーザーを搭載してGNSSでドローン本体の起動分析や姿勢、測位、計測などを算出して、レーザーで得られた地形データを点群にし、カメラで得られた情報から色を付け画像処理することで3D 画像を作れます。空中写真に比べ、地上にある植物などの影響を受けにくく、起伏のある場所の計測もでき精密な測量ができますが、レーザーは水の影響を受けやすく黒い場所や水の中の計測はできません。また、精度が良い器械を使うため写真測量に比べて金額が上がります。
グリーンレーザー測量は通常のレーザー測量で使われている器械が赤色レーザーなのに対して、名前の通り緑色のレーザーを出します。レーザーの色を緑色にする事で水を通すことができるため、河川や海などの測量が可能になりました。最近では緑色レーザーと赤色レーザーの両方を搭載したハイブリットの器械があり、土地のなかに沼や池などがある場合でも器械を変えることなく1台での測量が可能となりました。
以前は危険な場所や山奥などの測量に何日もかけていましたが、ドローンの登場によって日にちやコストが抑えられただけでなく、精度も上がっており国土交通省もマニュアルを出すほどまでに成長したドローンですが、各業界が注目していることもあり、今後ますます開発が進んで、より精度の高い測量が短時間でできるようになっていくことが考えられます。