日々進化しているドローン測量の技術!向上した最新の性能とは
近年ではドローン技術の発展にともない、農業や災害調査などさまざまな場面でドローン活用が進んでいます。ドローンを利用した「測量」もその一つであり、空撮画像を利用して2Dや3Dの地図作成が可能となっています。今回はドローン測量の技術について、最新の性能を3つに分けて詳しく解説します!
cm単位で測量が可能に
近年ではドローン測量の技術が向上し、cm単位で測量できる高精度なドローンが開発されています。
◾️「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」による基準とは
平成28年3月に国土交通省国土地理院から「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」が発表され(平成29年3月改正)、公共測量の手段としてドローンの利用が認められるようになりました。
この「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」では、でき形管理に三次元点群を利用する場合にはその要求精度を0.05m以内と定めています。これはかなり厳しい基準となっていますが、最新のドローン技術では単独測位でこの基準をクリアできてしまうのです。その秘密は「RKT」の搭載にあります。
◾️RTK(=RealTimeKinematics)について
RTKとはRealTimeKinematics(リアルタイム・キネマティクス)の略で、元々測定に使われてきた技術です。一般的なドローンに搭載されているGPSはスマートフォンと同程度であり、スマートフォンで位置情報を確認するとズレが生じることもあるように、ドローンに関しても数m単位でズレてしまいます。しかし、RTKを搭載したドローンでは、位置情報を数cm単位で正確に把握できます。
それによって飛行時の姿勢制御機能が安定したり、撮影した画像に高精度の位置情報を保存したりできるのです。測量専用に開発されたドローンでは、垂直方向1.5cm+1ppm(RMS)、水平方向1cm+1ppm(RMS)となっており「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」で定められる0.05m以内という基準を難なくクリアしています。
最近では機体やカメラが高性能になっていくにつれて、測量写真のラップ率緩和、標定点設置における測量方式の緩和なども進みつつあります。標定点設置などの事前準備には時間も費用もかかるため、今後ドローンの単独測位が可能になれば、測量の作業効率が一気に向上することが期待されます。
飛行時間の延長
ドローン測量における課題として、飛行時間の延長が挙げられています。飛行時間が短いと測量が正しくできず、途中で撮影を中断しなければならない場合も出てきます。
基本的に飛行時間を長くする方法は
①飛行技術を安定させて操縦の無駄をなくすこと
②予備バッテリーを準備すること
の2つが挙げられます。ドローンを利用して測量を行う場合は、大体3〜4haほどの範囲を撮影することとなり、時間にして1時間もかからない程度で終わります。
最近のドローンではバッテリーのデュアル化によって、約38分間の長時間飛行が可能となっており、途中で測量をストップすることなく作業を終えられます。今後さらに飛行時間が長くなれば、作業効率もアップして広範囲の測量が可能となり、測量以外のシーンでもドローンの活用が拡大していくでしょう。
防水性能向上
ドローンの最大の弱点は、天候によってフライトが左右されることです。雨や風に弱く、悪天候下ではフライトを中止しなければならないケースもあります。このような弱点を軽減した機体がDJI社の製のM200シリーズV2であり、従来のドローンよりも雨風に強い仕様となっています。17インチのプロペラと性能の高いモーターを組み合わせることにより、強風のなかでも安定した飛行を実現しました。
また、保護等級IP43の防雨仕様で雨の中でも飛行が可能です。さらに、バッテリーを自動的に温かくする機能を搭載することで、マイナス20〜50度という作業環境のなかでも問題なく飛行できる性能を実現しています。これらのスペックを備えたドローンは測量などの現場だけでなく、大規模災害が起きた際の被災調査、緊急物資、レスキューなどの利用にも期待が高まっています。防風性・防水性に関しては国内産のドローンでも研究が進んでおり、当初は部品によっては防水ではものが含まれており「防水」といっても実際には「防滴」レベルであった機体がほとんどでした。
しかし、近年ではレスキュードローンとして浮沈構造が追加された防水ドローンが開発されているなど、防水化の性能はますます高くなっています。今後も強い雨風の中でも問題なく飛行できるドローンの開発が進むことで、測量や災害時など多くのシーンでドローンの利用が広がっていくでしょう。
今回は、ドローン測量の最新技術について解説しました。ドローン測量の技術は「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」の発表から急速に成長が進んでおり、その正確さは誤差数cmと従来のドローンとは比にならないものとなっています。飛行時間や防水・防風性能についても研究が進んでいけば、測量はもちろん災害時のレスキューなどさまざまな場面でドローンの利用が増えていくでしょう。